アンタマッテン (ANTHAMATTEN) |
|||||||||||
ツェルマット(Zermatt)にある山岳博物館に古いピッケルの例としてAnthamattenが展示してある。銘によればサース・グルント(Saas Grund)のピッケル鍛冶の手による物であることが分かるがそれ以外にこの鍛冶屋については何も分かっていない。日本に輸入されたことはなかったと考えられる。
銘に刻まれたAnthamattenはAndenmattenと同じ意味を表すとのことなので同じサース・グルントのD.Andenmattenやサース・アルマーゲルのGebr.Andenmattenと区別するためにこの鍛冶屋はAnthamattenと打った可能性がある。また銘中央のSuisseはスイスを表すフランス語であり、銘下段のMed.
d'Orは金メダルという意味のこれもフランス語である。サース・グルントは、1段上にあるサース・フェー(Saas Fee)と共にミシャベル連峰の登山基地であるが当時この辺りはフランス人登山客が多かったのかも知れない。
|
|||||||||||
サース・グルントの家並み |
|||||||||||
J.M. Anthamatten [愛知県常滑市、渡辺秀樹氏所蔵] かなり古い形状のピッケルである。1920年代から30年代の物と思われる。ヘッド長28.5cm、全長81.5cm、重量1090g。ヘッド頂部は殆ど絞りがない。このためピックの肉厚は厚く、13mmもある。頭部は頭抜き構造ではないようだ。ピック下には7段の刻みが入っている。フィンガは148mmで2点留め。ハーネスは銅で繋いであり、短くできている。D.AndenmattenやGebr.Andenmattenと比べると作りがやや雑な印象を受ける。 |
||