グリベル(GRIVEL) | |||||||||||
グリベルはモンブラン(4807m)のイタリア側登山基地であるクールマイユール(Courmayeur)にある登山用具メーカーである。他のピッケル鍛冶と同じように古くは農具の鍛冶屋であったがモンブラン山群への登山者の注文に応じてピッケルを作り始めた。ピッケル作りの歴史は100年を超えている。 フランス側のシャモニとイタリア側のクールマイユールは、1965年に開通したモンブラントンネルによって現在ではおよそ15qの距離でしかない。しかしその昔クールマイユールはイタリアの奥深い地であった。そのためであろうかグリベルのピッケルは、戦前は日本には輸入されていなかったようだ。 |
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グリベル(1) 直線的なピックとオーソドックスな石突きの形状から1950年代後半から1960年代の製品だと思われる。ヘッド長は30.5p。シャフトは、木材に樹脂を浸透させて強度を増すレキシロン加工が施されている。ピック表面にはGRIVEL及びCOURMAYEUR、背面にはMADE IN ITALYと刻印されている。 |
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グリベル(2) [東京都杉並区・石田新司氏寄贈] 上のモデルのピック先端を切り落したような形状をしている。ヘッド長30.0p、全長80p。1969(昭和44)年3月に購入した物。ピック表面の刻印は上のモデルと同じ。 |
穴あき2本の比較 |
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グリベル(3) 上記モデルの穴なしタイプで1970年代の製品。ヘッド長30.0p。石突きのシュッツェは鈍角な三角形で、上部に穴が空けられている。シャフトはレキシロン加工されている。参考文献6-2ではART4というモデル名になっている。 |
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3本のグリベルの比較 |
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グリベル(4) [東京都世田谷区・中山好正氏所蔵] 穴なしでブレードがフラットなモデル。1968(昭和43)年頃購入した物。ヘッド長30.0cm、全長78.5cm。 |
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コンケーブブレードとの比較 |
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グリベル(5) ヘッド長33.5p(全長92p、重量970g)の非常に大振りのモデルである。軽量化のためにヘッドの厚みが薄く押さえられている。このためシャフト側からヘッド頂稜へ向かっての絞り込みが急勾配になっている。シャフトはレキシロン加工をしていないノーマルなタイプ。銘は前3種の物とは異なる刻印が使われている(GRIVELとCOURMAYEURの間が狭い)。シャフトに刻まれたPHBの意味は残念ながら不明。 穴なしではあるがカップ型ブレードの傾きが大きく、またカップの湾曲も大きいのでそれほどに古い物ではないと推察される。おそらく1960年代〜70年代に製造された物であろう。 |
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グリベル(6) [神奈川県秦野市・平野義耀氏所蔵] ピック先端がスッパリと切れ落ち、両刃が付けられた極めて特殊な形状をしている。これは明らかに氷を砕くための機能に特化したものであり、氷壁登攀専用のピッケルであろう。 ヘッド長25cm、全長68cm、重量900gであり、シャフトはレキシロン加工されている。1973年の雑誌「山と渓谷」(参考文献6-2)に「現代に見る特徴あるピッケルたち」として他のピッケルと共に写真付きで紹介されていることから当時製造された物である。 |
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