ペレーン(PERREN)
 Robert Perren(1906-1956)

 ペレーンはツェルマット(Zermatt)のピッケル鍛冶である。銘にはマッターホルンのシルエットを挟んでPerren Robert(ロベルト)と姓を先に打ってある。ツェルマットにはペレーン姓が多い。
 西岡一雄著「登山の小史と用具の変遷」(参考文献1-1)には、戦前「マッターホルン」というピッケルが輸入された、と記してある。他にそれらしいピッケルが見当たらないことからその「マッターホルン」とはペレーンのことを言っているのではないかと考えられる。戦後は輸入されなかったと思われる。


PERREN ROBERT ZERMATT
 ヘッド長29.8cm、全長82.5cm、重量870gである。石突きは古典的な寸胴のハーネスを使っている。1930年代から40年代の作と思われる。













GEBR. PERREN EISPICKELFABRIK ZERMATT [東京都在住、N氏所蔵]
 ヘッド長28.0cm、全長75.5cm、重量660gの小振りで軽量なピッケルである。第2次大戦後、1950年頃の作ではないだろうか。銘にはGEBR.(Gebrüder、兄弟)と打ってある。これはペレーンにはロベルト以外にもその兄弟がいて一緒にピッケルを作っていたことを表している。EISPICKELFABRIKのFabrikは製作所のことである。