レミントン(REMINGTON)

 レミントンという名のピッケルについての記述は極めて少なく、唯一雑誌「山と渓谷1973年12月号」の大賀寿二による「心に残る名刀たち」という一文にそれを見るだけである。その中で大賀は、昭和13(1938)年ころレミントンを購入したと書いている。大賀は「ほとんどのピッケルの刻印が楕円型の銘であったのに比べてRemingtonと刻んである」と述べている。そしてそれを昭和17年ころ大賀から買い取った西岡一雄は「これはアメリカの物でなかなかいいもんだ」と言ったと記している。
 確かにアメリカにはレミントンという銃のメーカがあり、そこが作っていた可能性もあり、いかにもアメリカ製のようにも思える。しかし1930年代にアメリカで製品としてのピッケルを作っていたかどうか疑問が残る。とりあえずここでは西岡の言を元にアメリカ製としておく。


REMINGTON GARANTIE [東京都青梅市、遠藤正明氏所蔵]
 ヘッド長30.0p、全長80p。ブレードはフラットでピック下には6段の刻みがある。銘は大賀の記述とは異なって楕円の中にREMINGTONと刻んである。またREMINGTONの下にGARANTIEと「保証」を意味するドイツ語が刻まれている。アメリカ向けならば英語でGUARANTEEと打つのが自然であろうからこれは輸出用の銘だったのかも知れない。