タウグバルター(TAUGWALDER)

初代(the 1st.);Alfons Taugwalder
2代(the 2nd.);Alfons Taugwalder (1904〜1982)

 タウグバルター(Taugwalder)はツェルマット(Zermatt)のピッケル鍛冶であった。また初代・2代共に同じギブンネーム(Alfons、アルフォンス)であった。参考文献7-3によるとツェルマットという名称で戦前輸入されたピッケルが紹介されているがこれがたぶんTaugwalderのことではないかと思われる。
 2代目は銘にBERGFÜHRER(山案内人)と打ったがこれは彼自身が山岳ガイドでもあったことを表している。

Alfons Taugwalder (2nd.)



初代TAUGWALDER
 極めて大振りのピッケルであってヘッド長が34.0cmもある。1920年代から1930年代の作と考えられる。全体的に作りが雑であり、丁寧な作りのピッケルと比較すると道具としての域を出ていないように見える。ヘッドは頭抜き構造になっていて天蓋の抜け止めピンがヘッド中央部に打たれている。








↑初代TAUGWALDER    ↓2代目TAUGWALDER



2代目TAUGWALDER(1)
 極めて細いピックのピッケルである。またヘッドとシャフトの間が少しくびれているのもこのピッケルの特徴である。ヘッド長31.8cm、全長80.5cm、重量880gで1940年代の作と思われる。













2代目TAUGWALDER(2)
 ヘッド上辺が直線に近い形状のピッケルである。1930年代から1940年代の作と思われるがその頃では既に一般的でなくなっていた銅製のピンがフィンガとシャフトの連結に用いられている。銅製ピンはさらにハーネスとシャフトとの連結にも打たれている。ヘッド長29.2cm、全長87.5cm。













MODELE DRUZ [群馬県榛名町、佐々木直氏所蔵]
 2代目作で1940年代から1950年代の物と思われる。ヘッド長は32.0cmと大振りにできていて頭抜きである。ブレードは湾曲していて刃は両刃である。フィンガー、ハーネス共にピンは銅が使用されている。













2代目TAUGWALDER(3)
 スイス山岳兵用に作られた物。ヘッド長27.5cm、全長90cm。銘の右側の1939の刻印は製造年を表している。