スベア(Svea,Sweden,1882-1966灯油・ガソリン部門をOptimus社が吸収)


No.1
No.106(L)
No.121(L)
No.123

 1881年夏、ドイツ人機械商人Max Sievertはスウェーデンの首都ストックホルムにやって来た(Sievertはドイツ人であるのでドイツ語読みならズィーフェルト、英語読みならスィーヴァート、スウェーデン語読みではシーベルトであろう)。そこで彼は一人の発明家Carl Richard Nybergと出会った。Nybergは新しいトーチランプ(水道工事等に使われるハンディ型のバーナー)を発明し、Sievertがそれを売った。株式会社Max Sievert(AB Max Sievert)の始まりであった。やがてストーブも手掛けるようになりSveaのブランドで売り出していった。
 Sivert社は早くからLPガス(Liquefied Petroleum Gas、液化石油ガス)の優位性にも着目していた。そして1938年にLPガス・ストーブを市場に出した。しかし間もなく始まった第二次世界大戦のためにLPガス・ストーブの生産は一時中断する。
 戦後Sievert社は、再びキャンプ愛好家のためにLPガス・ストーブを生産した。Sievert社は1964年、同じストックホルムに本社のあった石油会社スヴェンスカ・エッソ(Svenska Esso、Svenskaは「スウェーデンの」という意味)の傘下に入った。そして社名をAB Sievert Apparater(Apparaterは器具のこと)に変更した。そして1966年、灯油・ガソリン部門をOptimus社に譲ると同時にPrimus(Bahco社)のLPガス部門を吸収合併してLPG製品に集中する方針を採った。合併後はAB Primus-Sievert(後にPrimus AB)となり、LPG製品をPrimusブランドで販売して現在に至っている。Sievertの名は現在もプリムス社の中の工業(Industry)部門として残っている。
 Optimus社に移った灯油・ガソリン部門の売れ筋製品はSveaブランドのまま1980年頃まで生産されたようだ。最後の頃はOptimus00とSvea121が同じタンク形状になる位まで同化された。Sveaの看板製品である123はOptimus123Rと姿を変えながら今も生産され続けている。
 
 Sveaは9世紀から10世紀にかけてスカンジナビアで一大勢力を誇った一民族の名称及び彼らが住んだ場所の名前である。またスウェーデン(Sweden)という国名は「Svea族の国」という意味らしい。Sveaのストーブにはバイキングであった彼らにあやかってか、Sveaのトレードマークを挟んでThe King Of Stovesと誇らしげに刻印されている。