タニ(TANI)

 プレス型のアイゼンが一般化する1975年(昭和50年)頃まで主流だったアイゼンである。愛知県春日井市の梶田製作所で作られていた。
 厚い鋼板を切り絵のように切り抜いてから曲げたりねじったりして立体的な形に仕上げる方法で作られた。
 初めは10本爪型だけだったが前2本が斜めに飛び出した12本爪型の登場に合わせて前部を6本にしたタイプも販売された。サイズ調節は、購入する時に自分の靴に合わせて数サイズの内から大よそに選び、ジョイント・ネジで前部を移動させることで全長方向を微調節した。鍛造型のように肉を厚くできる長所がある反面、横幅はサイズ調節が出来ない点や鍛造ほどではないにしても製造の手間が掛かる点が短所となり、またプレス型の普及に伴い次第に役割を終えていった。
 途中、力のかかるジョイント部分が破損する例が発生したため、ジョイント・ネジを一旦受け止めてから後部に連結するプレートを追加する改良が行われた。写真の品は改造型が出る前の物である。
 










タニ12本爪 [埼玉県深谷市、鈴木陽一氏所蔵]