ホエーブス (PHOEBUS) |
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ホエーブスはオーストリアのウイーン(Wien,Vienna)に本社のあった金属製品メーカ、MJRの製品ブランドである。MJRとは、Metallwarenfabrik
Josef Rosenthalの略であり、日本語では「ヨーゼフ・ローゼンタール金属製品製造所」といった意味になる。ヨーゼフ・ローゼンタールは創業者の名前であろうか。 山の上の家(山小屋)から光が出ている絵にMJRの3文字をあしらったトレードマークはホエーブス製品のあちこちに見られる。 |
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日本でホエーブスと言えば一般的にはNo.625及び725を指す。真偽のほどは定かではないがオーストリア陸軍の要請でMJRが1918年に野戦調理用としてガソリン・ストーブを開発したとのことである。これがたぶんNo.625であろう(No.725についての歴史は不明)。以来小さな変更はあったものの1992年まで生産され世界中で使われた。今でもガスや電気のない地帯では日常的に使われているらしい。 日本には第2次世界大戦後輸入され、登山用として絶大な人気を博した。それ以前の山岳用スト−ブは、スウェーデンのプリムス(Primus)やラジウス(Radius)等の灯油ストーブが一般的であった。これに対してホエーブスNo.625/725はガソリン(輸入代理店のエバニューはホワイト・ガソリンを推奨)を燃料としたため火力が強く、特に冬山ではその威力を発揮した。 しかし灯油に比べてガソリンは気化しやすいために危険も多かった。また法的規制のためか、かつてはホワイト・ガソリンはガソリン・スタンドでしか販売しておらず、さらにホワイト・ガソリンを在庫しているスタンドも多くなかった。これらの理由で日本に輸入されたNo.625には灯油用ノズルが付属していたと思われる。
ホエーブスNo.625及び725は2機種同時に2回のモデルチェンジを受けた。1回目は1972年であり、2回目は1979年である。モデルチェンジは主に燃料タンクとバーナーヘッドの接合部分の機構的な改良であった。モデルチェンジを境に型が変わるがこのコーナーでは、この分野の研究での先駆者であるYK氏(リンク集参照)の分類に従って、1972年までを「旧旧型」、1972〜1979年を「旧型」、1979〜1992年を「新型」と呼ぶ。 ホエーブスにはNo.625/725の他に灯油を燃料とするブラス(brass;真鍮)ストーブも製品としてあった。しかし日本へ入ってきた量はプリムス、ラジウス、オプティマス、スベア等に比べると極めて少なかったようだ。
ホエーブスとはギリシャ神話の「火の神」のことである。 |
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